階段箪笥のつぶやき

 

モノを持ってのぼりおりが出来るよう手助けし、

仕舞えることのできる存在として活躍してきました。

 

ずっと影の大黒柱のように

当たり前にいつもそこにいて

いいことも苦いこともみてきました。

楽しいことも

辛いこともみてきました。

家族も受け止め支えてきました。

 

ここで最後のおつとめ・・

 

太陽のようにあっけらかんとした

温かい人情味あるおかあさんと一緒でたのしかったな・・

 

あるときおかあさんは

おかあさんより少しだけ若い女の人を

つれてきました。

 

女の人はやや青白く

元気にみせているようでもこころのうちには

がらんどうの洞窟に

顔色とおなじく

青い湖のような空間を抱えていました。

 

みるものきくものすべて

吸い込んでしまうような

静かな青い湖。

 

おかあさんとなにやら話して

天井の低さに珍しがったり

ゆらゆらガラスに感動したり

柱の刀疵や千本格子のエピソードを聴いています。

 

100年のあいだからしたら

ほんのひとコマ。

いえいえ

階段箪笥になる前は

大きな木でした。

大きな木から階段箪笥に生まれ変わったのです。

生まれたときの

小さな芽から

数えてみたら

もっとながいあいだのほんの数秒。

 

その女の人は

太陽のようなおかあさんがつぎの住処に

移ったあと、

静かな空間になった家に

ときどき誰かを連れて来ています。

 

 

 

うつらうつら寝たり起きたりしていました。

 

 

あるとき急に騒がしく

あれやこれやと思う間に担ぎ出されてしまいました。

 

なんだか

信州からきたとか

会津の山里からきたとか

かなりの先輩やらまだまだお若いの

のいっぱいいる場所へ詰め込まれました。

 

わいわいがやがや

話すことはつきません。

なんたって

皆ながいこといろんなことを見てきたモノ同志です。

この齢になって

旅にでるとは想いもよりませんでしたな・・

 

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千本格子よお前さんもかい。

お互い

この齢になって

まだまだ必要とされるなんて

微塵も想いもよりませんでしたな。

 

あのお若いの二人組

なにやら

面白いことやりそうだ。

 

一丁また縁の下の力持ちとなりますか。

ストーリーテラーとなりますか。

 

筆 一月三舟