天然素材のバッグから感じた行商の役割

なかなかの人懐こい笑顔に癒されています。

人を怖がっている反面

人が好きです。

 

昔から自生している草を編み

ゆがいたり乾燥させたり

縄をなったり

してバッグを創っている方に出逢いました。

 

福島の南会津と云われる三島地方では

里山ならではの自然素材を使った編み組み細工が

伝統工芸品として今も愛され創られています。

昔のものは背中に背負ったり、腰にぶら下げて

おもに山菜採りや野菜の収穫など

生きるための生活の中にあったのでしょうね

と思われる形状をしています。

今では天然素材のお洒落なタウンバッグとして

街中や普段のファッションに合うようにデザインされています。

そのことは

この仕事につき、各地をまわるようになって

知りました。

 

そして福島のものだとばかり思っていた

信じ込んでいた編み組みバッグを

栃木の里山で創られている方に出逢いました。

吃驚して

『わあ、すごい!』

『ちょっと写真とっていいですか?』

『ちょっと触っていいですか?』

『ちょっと上がっていいですか?』

『これは買っていかなくちゃですね!』

『これはどうかな?』

『こっちもいいな』

『すごい』

『うそでしょう?』(嘘ではありません。現実です。たぶん認め、認識するのに時間がかかり回路がおかしくなって、現実逃避した言葉です。)

 

なんて普段はひとの話をよく聴いてますが

矢継ぎ早に自分のことばかり・・

 

静かなる作家さんは

びっくりあたふた質問している

自分を横目に

静かになにかをとりだしたのでした。

 

これまた『えー?なにこの冊子?作ったの?この名刺すごい!』

とこれまた『なに?なに?なに?』の連続で

すっかり興奮マックスの状態でした。

 

一個のバッグを編み上げるのに約一か月弱くらい

かかるそうです。

その前に草をとったり、茹でたり、乾燥させたり

縄にしたりの準備もあるでしょうから

かなりの手間と時間がかかります。

芯棒強いこころがいりますね。

 

この仕事が面白いところは

普段の生活では知り得なかったかもしれない

逢えなかったかもしれない

人やモノに出逢えることです。

 

昔の人は行商さんからあちこちの情報を聴いたのだなあ

といまさらながら思います。

あそこの地ではこういったものが流行っているよとか

あそこは○○で栄えているよとか

物々交換と

情報交換と

社交の場がやってくる。

 

栃木の地では

よく昔は行商さんが来たんだよ。

とか、

最近では珍しいね。

と云われます。

そして

たまにはお茶しにきてね。

また寄ってね。

とも云われます。

温かく迎えてくださるのでこちらもほっこりします。

(じいちゃんの生まれ育った地なので気が合うのかもしれないなと

おもいつつ・・)

また会いにいきます。

 

筆 一月三舟