八百比丘尼

おはなしをしていたなかで突然脈絡もなく

八百比丘尼って知ってる?』

と聞かれました。

 

ふいになにか気になる言葉がでてきたとき

ピーンと琴線に触れ

知りたくなります。

分かりたくなります。

あとから意味が繋がってくることが多いです。

どこかの誰かが

自分になにかを伝えようとしている。

真剣に聴きます。

気になることは調べます。

諸説・伝説・伝承がありました。

 

他所から来たひと(異国の人)からもてなしを受けることになったが、ご馳走とは上半身が人で下半身は魚といった人魚のようなものから作られた料理だった。気味悪がって箸をつけずにいたが、

16歳~18歳くらいだった娘がつまみ食いした。

それは美味なるものだったらしいが、食べたその時から

歳恰好は娘のまま800歳まで生きたというのが大筋の話です。

 

昨日の旅は

哀しみの旅でした。

とても素敵な笑顔で話している方々でしたが、

兄弟の中でとうとうじぶんだけになってしまった。

亡くなったお父さんが

『おい。起きろ。』

と夢枕に立ち、目覚まし時計のように起こしてくれる。

近所のひとがまだ若いのに亡くなってしまった。

と憂いと涙をにじませていました。

 

ひとときではありますが

見知らぬ自分に話しをして

充満する悲しい気持ちが少しは減って

空いた隙間に明るい気持ちが入っていってくれたら

たとえ気休めでも明るい兆しがみえてきたらいいなと

願っています。

 

八百比丘尼

不老不死となり、

親も夫も兄弟も年老いていっても、

亡くなっても

なお娘の姿のまま歳を取りません。

 

哀しみが果てしなく続き、孤独を繰り返す中

諸国を廻る巡礼の旅に出ます。

旅先で出逢う方々を癒し、腕の中で看取る。

800歳のころ、ようやく故郷の若狭に戻り

諸国を巡る旅に出る前と変わらずある、

海の青さを見て洞窟に入りました。

生きてるのか亡くなったのかは分かりません。

大地の胎内のなかでゆっくり休みたかったのかも

癒すことで癒されたのかも

籠ったまま静かに見守っているのかも

分かりません。

 

伝説のお話しです。

 

あちこちを巡り

いくつもの人生を聴かせていただいています。

古道具からも歴史のなにかが見えてきます。

バックボーンでしょうか。

あなたの頭の中の絡まった紐を解くことも楽し。

歴史を紐解くもまた楽し。

 

八百比丘尼 美しくも悲しい 哀しくもたくさんの人と出逢い、

幸せを看取り幸せを感じたひと。

 

 

筆 一月三舟