ボロボロになっても・・ 襤褸アートの個性

感情のコントロールができていて

穏やかに話す方をみると

尊敬して憧れてしまいます。

 

昨日の気になる言葉を調べました。

『疵』  きず。欠点。あやまち

『庇う』 他から害を受けないように、助け守る。いたわり守る

     大事にしまっておく

 

古道具を扱っていますと

どうしても疵に多く出逢います。

人間もモノも同じです。

長くこの世に存在していますと

器と器のぶつかり合いやこすれ合いも経験しています。

大事に扱っていたとしても

どこかに仕舞われていたモノや飾られていたモノより

使っていた回数の多いモノは

疵のつく確率がどうしても高くなります。

 

侘び寂びの世界では

完璧ではない美しさにモノの価値を見出す

といったこともあるようです。

いびつに歪んだ抹茶椀ごつごつ無骨な椀

釉ハゲのある器など

そこに至った過程や奥深さを見ているのでしょう。

奥深さを見つけたら

そこから派生するおはなしも楽しく広がりそうです。

 

襤褸という時代を乗り越えてきた古布があります。

主に藍染や絣の木綿地で拵えた

野良着などのことです。

もっとちゃんと言いますと

野良着は着る頻度が高く

破れたりほつれたり擦れたり穴があいたりと

ぼろぼろになっていきます。

働いているのですから必然です。

それを裏側から布を当てたり違う布を接ぎ当てたり

刺子をして布がずれないようにしたりして

また着れるようにしてあるモノです。

 

それが必然から偶然にも?パッチワークのように見て取れます。

手仕事と布の組み合わせの妙

そして主張しすぎず物静かに語りかけてくる色味に

アートの世界や海外では高く評価されているようです。

 

もともとパッチワークというモノは

そこにあったあまり布をつなぎ合わせて

一枚の布としてベッドカバーやラグマットなどに仕立てたので

海外も日本も考え方としては一緒なのかもしれませんね。

 

疵を庇う

 

穴があいたら違う布を当てて補えばいい

藍染藍染の同じ色合わせがいいならそれもいい

藍染に縞絣がちらみせがいいならそれもいい

大きな穴にカバーする布を当ててずれるようなら

時間をかけ刺子をちくちくステッチして

ずれないようにすればいい

 

ひとつひとつ個性があり

時間をかけた丁寧な手仕事があり

ここにも侘び寂びのような奥深さをみています。

 

筆 一月三舟